今日のカウンセリングは40歳の久美子さん。年齢的に早く赤ちゃんを授かりたいとのことで、今回、2回目の体外受精で、今周期卵を戻す予定です。
体外受精や顕微授精に治療が進まれた人の中には、受精卵がいくつか保存されているということで夫婦生活の回数が減ってしまう方が多くおられます。
また、夫婦生活がうまくいかなかったり、時間が持てなかったりすることで、人工授精やシリンジ法で妊娠を望まれる方もおられます。
女性のからだは生理周期で卵を育てたり、子宮内膜を厚くするホルモンなどが分泌されます。夫婦生活をすることで、しっかりと女性ホルモンの分泌が促されます。それは、良い卵を作り、排卵した後の黄体化ホルモンがしっかりと分泌し子宮内膜の厚みを作り、やわらかく着床しやすい子宮内環境を作ってくれます。
そして、ここからが重要なポイント!
=着床率をあげる秘訣=
自然妊娠や人工授精は卵子と精子が女性のからだの中で出会い受精し、細胞分裂を繰り返しながら胚盤胞まで育ち着床へと進みます。
しかし、体外受精や顕微授精では、卵子と精子は体の外(シャーレの中)で出会い受精し、分裂2日後の初期胚もしくは5日後の胚盤胞を凍結させたものを、融解させて子宮内に戻します。
つまり、突然子宮のなかに受精卵がやってくるわけです。体の中で赤ちゃん(受精卵)を迎える行程が自然妊娠の場合と違って飛ばしてやってくることになります。ですから、胚盤胞を移植(戻す)場合は、戻した胚盤胞は卵子と精子がであって5日後の状態のわけなんですね。自然妊娠ならば5日前に夫婦生活を行っていたということ。つまり、自然の流れに置くならば、移植の5日前に夫婦生活をすることなのです。
では、もし初期胚を戻すならばどうでしょう?
そうです。移植2日前に夫婦生活をすることで、子宮も(心の?体の?)準備ができると考えられます。
もちろん、直接夫婦生活ができないからこそ、体外受精や顕微授精の方もおられます。その方は、抱き合ったり、キスをしたり、手をつないだり、肩を触れ合いながらテレビを観るのでもいいと思います。
このようにすることで、実際に着床率が上がっている成果を出されているクリニックもあります。
*分裂する胚の図ははらメディカルクリニックさんからお借りしました*
〈大事な注意点〉
このときには必ず避妊をしてくださいね。
移植する周期にも卵子は卵巣の中で育っています。排卵をすれば、戻した受精卵とともに着床して妊娠してしまう(双子や多胎児の)可能性があるからです。
あっこ先生からのメッセージ
不妊治療を受けると、どうしてもクリニックにまかせっきりになりがちですよね。
ある有名な不妊治療を行っているクリニックの院長先生は「不妊治療の本質は赤ちゃんまで成長する可能性のある受精卵をたくさん用意すること」であり「凍結することは、受精卵を単に凍結するのではなく、体外受精の治療効果を最大に高める戦略である」と仰っています。治療をうける私たちも、自分たちで授かる力のある体づくりをし、不妊治療の高度医療技術が活かせるようにしたいものですね。