私の幼少時代は春の遠足と言えば潮干狩りでした。
遠浅の浜辺を熊手を使ってあさりやマテ貝、バカ貝をバケツにいっぱい採って帰り翌朝は貝のお味噌汁でした。
実はあさりの殻は生薬として漢方薬の成分に使われているのですよ。
蛤利粉(ごうりふん)といって、からだの余分な水分を排出しむくみを解消してくれます。
薬膳的には、からだのほてりを鎮め痰伴う咳を楽にします。
血を補うことで精神安定作用があり、重い殻の成分はイライラと上がった気持ちをその重さで鎮めてくれると考えられています。
そして、なによりあさりは妊活力アップにおすすめ食材のひとつです。
では、その効果についてみていきましょう。
貧血を解消する鉄分が豊富(鉄3.8mg/可食部100g)
赤血球に含まれるたんぱく質と鉄が結合してヘモグロビンとなります。ヘモグロビンが酸素と結合して体じゅうに運ぶ働きをします。私たちのカラダの中には3~4gの鉄が存在していますが1日に1mgの鉄が自然に消失します。貧血症状があると血液によって、酸素だけでなく栄養やホルモンも十分に体じゅうに運ぶことができません。つまり、卵の成長やフカフカの子宮内膜の成熟にも影響が出てきます。そして、老廃物を回収してくることもできないのです。貧血は冷えの原因にもなります。授かりやすい体には冷えは大敵ですし、貧血ですと妊娠は難しくなります。
また、鉄は粘膜を作る材料になります。これもふかふかのベッドである子宮内膜の成熟に働きます。貧血でせんべい布団では着床するのが難しいですよね。
おなかの赤ちゃんへの準備 カルシウムが豊富(Ca66mg/可食部100g)
カルシウムは赤ちゃんの成長に欠かせない栄養素です。胎児はママの胎盤を通して骨や歯を作ります。妊活中からちゃんと準備をしておけば万全です。
カルシウムは精神安定作用があります。イライラや不安感を解消してくれます。
また、ホルモンのバランスも整えてくれます。
亜鉛は妊活男性だけでなく女性も必要なミネラル(Zn 1.0mg/可食部100g)
亜鉛は男性の精子に多く含まれ、精子の質を上げることから、男性の妊活の栄養素のイメージが強いかもしれませんが、実は女性ホルモン作用も高めてくれます。
そして、鉄と同じように粘膜を作る材料になるのです。ふかふかの子宮内膜をつくり妊娠後は赤ちゃんのいる子宮内の環境を整えてくれます。お腹の中の赤ちゃんの細胞分裂を促進する働きもあるので、妊娠前からしっかり不足のないように補っておきましょう。
ビタミンB12(VB12 52.4㎍/可食部100g)は葉酸とともに妊娠初期の赤ちゃんの神経と脳をつくる
ビタミンB12は葉酸と一緒に赤血球のヘモグロビンを合成を促進、造血作用があります。妊娠のごく初期(妊娠6週目くらいの時)に胎児の脳や神経を作る働きに重要な葉酸を活性化させます。
うまみ成分であるタウリンはミトコンドリアを増やし精子、卵子や卵巣の老化防止
タウリンは栄養ドリンクにも入っている疲労回復効果のある成分。細胞内のエネルギー工場であるミトコンドリアを増やす働きがあるといわれています。(ミトコンドリア病の治療にタウリンが効果あったという研究報告もあります)ミトコンドリアが増えたり活性化することで細胞の老化が防げ、細胞の染色体異常などのリスクも軽減できることが考えられます。
まとめ
春と秋が旬のあさりです。殻付きのまま料理することで栄養や効果はアップしますが、砂抜きが面倒な人は水煮缶を利用されてはいかがでしょうか。実は、カルシウムは生で66mg、水煮缶詰は110mgと水煮のほうが2倍近い量含まれています。